雑技の町で、養成学校と「大世界」を訪ねる

30日(呉橋、曇り)

朝、朝食は町で油条などを、と話していたが寒いためか、店が出ていない。そのまま呉橋へ向かう。

呉橋はユニークは町だ。実に300軒の「雑技一家」が存在し、町の3人に1人は何らかの雑技ができるという。中国にある雑技団の団員の多くはこの町の出身者だという。2年に一度は世界雑技(サーカス)コンテストが行われる。

 そんな町の中心から車で40分ほどいったところに「呉橋小占風雑技芸術学校」がある。5歳から12歳までの20人ほどの子供が寮で生活をしながら、雑技の練習をしている。校長の韓愛珠さんは元天津の雑技団員で、引退した後、私財で故郷である呉橋で学校をつくったのだそうだ。それぞれすでに「もち芸」があり、黙々とその練習をする。こんな小さな子が、と驚くが、小さな頃からやらないと芸は身に付かないのだという。よく雑技団でみる、やわらかい体を使った芸をする少女は始終柔軟運動をしていた。 

 この学校にくる途中の道が凸凹で随分揺れたのに加え、厳しい寒さのためか、トイレに行きたくなってきた。まあ、こういうところのトイレは汚いだろう、というある程度の覚悟をきめて校長に「トイレはどこか」聞いてみた。こっち、と案内してくれたが、「外だから、寒いよ。遠慮しないで私の房間里(部屋の中)に行きましょ」(房間里って、まさか?)そう、校長先生の部屋の中にトイレがあるわけではなく、差し出されたのは小さなバケツ。うう・・私の困惑をよそに「別客気(気にしないで)。私たち友達だから」と微笑む韓校長。覚悟を決め、ベッドの物陰に隠れて事を済ます(詳細は略します)。この場合、寒くて汚い外のトイレがよかったのかとも思ったのだが・・

 寒いから、と校長先生が湯たんぽを出してくれる。これをお腹にあてると本当に暖かい。まったく、今日は相当着込んでいるし、使い捨てカイロも貼っているのだが、あまりの寒さで感じない。

 そして最後に子供たちと記念撮影。素顔はとても可愛い子供たち。かれらは将来どうなっていくのかな?

 校長先生にお菓子をいろいろもらい、呉橋の県城へ戻る。学校を離れるとき、生徒が声をそろえて「再見」と言ってくれた。

 呉橋の県城にはその名も「雑技大世界」がある。寒い!雑技館に行ったら客が少ないのでやらないという。石焼き芋を食べながら、別の屋内の場所のテントで小規模な雑技を見る。そのあと、外でやっている気功を使ったマジック?を見る。寒さでお腹がまたもやあやしくなってきた。風が冷たい。家の中で「雑技一家」のショーを見る。終わったところで昼休み。すべてのアトラクションは午後から再開されるそう。でもそれまで2時間もある。

 観光地の有料トイレはだいたいがきれい。ところがここの有料トイレに行ったら、客が少ないせいか、有料は有名無実化している=汚れるままにまかされている。うっ、つらい。久々中国特徴的厠所。

 トイレから生還すると、傳さんがこっち、と呼ぶ。招かれるままに部屋の中に入るとさっきサーカステントでショーをやっていた女の子と座長らしきおじいさんとその奥さんが昼ご飯を食べている。昼休みになり、どこにも行く場所がないので、ここで暖をとろうというのだ。お茶を出してもらう。

 女の子たちは親元を離れ、ここで生活しているのだという。この座長は、ネズミを使った曲芸などをしている人のようだ。呉橋の雑技についていろいろ傳さんとお話しているらしい(言葉がよくわからない)。そうこうしているうちにようやく1時半になったが、みぞれまじりの雨が降り、風も吹き、客が全くいない。アトラクションは中止となり、そのまま帰ることに。天津に向かう前にやっぱりトイレ、と同じく駐車場の有料トイレに行ってみるが、状況は同じ。屋外なので寒いし・・やれやれ。外国人がたくさん訪れるような有名観光地とは違うことを改めて認識。

夕方には着く、という話だったが、意外に時間がかかる。それもそのはず、天津まで約200Kmあるのだ。途中、高速道路に入る。天津市は北京市と同じく直轄の行政区でとても広い。一応市内に入っても、中心部までは50Kmほどある。「静海」を通過。ここは例の「蒼穹の昴」の主人公の出身地。荒涼とした大地が360度果てしなく続く。あの本での表現を思い出し、なんだかじんとしてしまった。近くにはもうひとつ有名な年画の産地、「揚家青」がある。

 7時をまわり、すっかり日が暮れ、あたりは真っ暗に。ここで傳さんが、天津の地図をとりだす。天津は道がわかりにくく、いつも「迷路」になるそうだ。途中でやっぱりこの道ではない、と引き返すが、どうやらそれでよかったようで、再び戻る。大丈夫か?それにお腹が減ってきたよ。天津に着いたら食品街で『羊のしゃぶしゃぶ』を食べましょう、と言われ、気を取り直す。

 が、めざす「食品街」への道を書いたメモを見てもわからない、という。なんだか不安になってきた。おまけに「食品街」のホテルを宿泊予定にしているのだが、ホテルのあてが具体的にあるわけでもないことが判明。天津と北京は近いので、いつもは泊まることがないからだそうだ。え〜、と力をなくす。一刻も早く暖かい『羊のしゃぶしゃぶ』を食べ、それにトイレにも行きたい。

 なんとか食品街へたどり着いた。駐車場のおじさんに、ホテルがないか聞く。教えてもらった「旅館」の部屋を見ると、共同トイレ。今日一日トイレに泣かされ、ちょっとお腹に不安を抱えていた身だったので、悪いがパス。外を歩いていると怪しいタクシーの運転手が話しかけてきて、近くにホテルがあるから乗れ、という。案内されたのは拍子抜けするほど近い「食品街」の隣、「旅館街」の真ん中にある、「華富宮大飯店」。ここはなかなか豪華なつくりだ。150元の「普通間」に落ち着く。部屋も清潔で綺麗だ。

 もう8時をとっくに過ぎている。となりの「食品街」にある『羊のしゃぶしゃぶ』のお店に入る。やっぱり冬はこれに限る!たれは自分のお好みで、胡麻だれや醤油、あとナゾのたれをアレンジして作るようになっている。ここの器は本格的な物で、真ん中の筒に炭を入れる。閉店まぎわだったので、隣のテーブルでは店の人たちが結構盛大にしゃぶしゃぶをやっている。

しかし、今日は大変な一日だったなあ。

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