No107

ドリアン ドリアン  (榴[木連]飄飄)

★★★1/2
監督:フルーツ・チャン(リトル・チュン) チン・ハイルー(蓁海[王路])

 

リトル・チュンでチュンが好きになった、違法移民の女の子、ファンが同じ設定ででてくる。あの作品のラストで、「ああ、この子は強制送還されてどうなっちゃうんだろう?」と気になっていたのだけど、フルーツ・チャンは、ちゃんと(ダジャレではない!)すてきな答えを用意していてくれて、安心する。だって主人公、イェンへの手紙で「強制送還されてかえってよかった。だってここが私のふるさとだから」と言っているのだ。私が好きだったのは、父が買ってきたドリアンをめぐる一家の、すごく自然な表情。家族の温かさにじーんとなった。
  フルーツ・チャンは等身大の香港(&リアルな中国)を描写することにかけては天才だと思う。ただしあまりにもリアルすぎて、少しわかりにくい画面 もあった(もちろんナレーションもないから、自力で解釈するしかない)。だから、こういうことなのかも?といろいろ考える。大陸事情を多少知っている身に面 白かったのが、牡丹江のレストランで盛大な宴会を開いたあと。床にビール瓶やら、ゴミやらが散乱している場面 だった。 それと「上海から仕入れている」と自慢していた個人商店のセーター。あまりにもセンスが悪くて面 白い。(香港人だったら苦笑する場面なんだろうか?)
  冒頭、売春婦として香港で稼ぎまくる イェンの安アパートに男がトイレを借りるシーンがあり、ゴミ箱をみた男がイェンをののしる場面 がある。これ、ひょっとしたら、彼女の習慣ではなく、大陸の習慣で彼女はごく普通 にやっていたのでは、と思った(公衆トイレによくあるので・・・)。あとで一瞬彼女がつまったトイレをスポイトで掃除している場面 があり、それは男にいわれてティッシュをトイレに流すようになった→排水が悪く案の定詰まってしまった→トイレ掃除だったのでは???だとしたら、フルーツ・チャン恐るべし。ちょっと間延びしているようなシーンも意味がそれぞれあって、気が付かないだけかもしれないのだ。でも日本人にはちょっと解説が必要かも。
 イェンが香港で稼ぎまくった前半、と牡丹江に帰ったあとでは画面の雰囲気もガラリとかわる。 彼女のいろんな背景もわかってくる。悶々と悩む日々もお金のために突っ走っていた前半と対照的。でも結論には納得した。その選択、もうちょっと丁寧に描いて欲しかったけど(一瞬別人だと思っちゃうから)。ちなみに「ドリアン ドリアン」というタイトルは、「デュラン・デュラン」からヒントを得たそうな。

 

・・・その後、SARSが香港や中国で観戦したルートをたどる報道番組を見ていたら思った。もちろん無意識だろうけど、主人公の衛生観念を描写したこの映画はそんな危険なシグナルを発信していたのではないかと。

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