No.43

こころの湯  (洗澡 SHOWER)

★★★★★ 

監督:張揚(スパイシー・ラブ・スープ )出演:朱旭変臉 この櫂に手をそえて
濮存[日斤] (スパイシー・ラブ・スープ )姜武(活きる)

オープニングがなかなかシニカルで面白く、一転して映し出される「清水池」の様子が際だつ。朱旭がさすがにうまいのは、いってみれば予想通りなのですが、アミン(テロップでは二明になっていた)を演じる姜武(あの姜文の弟)がなんといっても印象に残ります。「オーソレミオ」を歌う男との交流、父との毎晩のジョギング、大切な「清水池」での生活。それらで見せる、天真無垢な笑顔になぜかこちらも笑いかけたくなってしまうのです。「失いたくないもの」への愛着ぶり、そしてそれを失ってしまったときの悲しみがストレートに伝わってきます。こういった役回りはこれまで子役が演じていたのだろうけど、知的障害者、という設定で見事に大の大人が「けなげ」に演じてしまうのです。これは姜兄弟に共通 する、DNAのなせるわざなのでしょうか。
 現実にしろ、スクリーン上にしろ、私は中国の「普通のじーさんたち」がことのほか好きなことに今さらながら気が付きました。「清水池」でコオロギ遊び?に興じるじーさんたちは私が天津の「茶館」で見た、マイカップを持ち寄り日長一日、京劇を聞きに来ていた戯迷じーさんたち、あるいは「北京好日」のじーさんたちと同じ、愛すべき人々なのです。いい〜な。(その中で「呉じいさん」を演じた俳優さんが出演後に亡くなったという追悼の言葉が最後のテロップに流れ、思わず泣いてしまった)そんなわけでは5つ。
 それと「お風呂」に関する挿話として語られた、母の婚礼のときの話とチベットで「聖なる湖」を探し続ける老婆と孫娘の話にはまいりました。湖を見つけたときの老婆の「五体投地」と女の子の表情、語りがじーんときます。その「さらり」ぐあいがちょうどいい 。
 とにかく 「お風呂のお湯に浸かることの幸福感」を伝えるために邦題は英語タイトルの「シャワー」でなく、「湯」が必要だったのだと納得できました。これは東洋的な感覚なのかな?
 あらゆる中国の「今」を都会的なタッチで表現できる、張揚監督の次回作にも期待します。(2001.4.10)

 

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