No.202

故郷の香り 暖
★★★★1/2

監督:霍建起(「山の郵便配達」) 出演:郭小冬、李佳、香川照之

 莫言の原作っていうことで、「赤いコーリャン」のようなたくましく生き抜く名もない人々の生き様・・・ かと思えば、舞台が昔ながらの佇まいを残す山あいの農村。原作は山東省が舞台だったが、江西省に変えたのだそうだ。だからしっとりとした雰囲気の中、淡い初恋の物語が回想されるのも合っている。やっぱり霍監督、ただ者ではない。そう思った理由はなんといっても香川照之を起用した点。しかも詳細を知らないうちは日本人役でないことに驚いた。回想録によると「鬼が来た!」でさんざん中国流の映画制作スタイルに泣かされたらしい香川照之がよく中国映画にまた出る気になったものだ、とも思った。でもそれが「誠意が服を着ているような人」(岩波ホールの広報さん評)だという霍監督の作品ということで納得できる気もした(姜文がそうじゃない、とは言っていません)。聾唖者である唖巴(ヤーバ)を演じるのは中国人だと本当は言葉を理解しているので、自然な演技にならない。だから中国語がわからない日本人俳優を起用したんだとか。なるほど、と思った。
 偶然再開したときはあれほど生活に疲れた感じがでていたのに、井河(ジンハー)が訪ねてきたとき身繕いする暖はびっくりするほど色っぽい。そして美しくなっていく姿に確かな演技力を感じた。郭小冬、李佳も北京電影学院の俳優科卒、さすがにエリート校出身だ(しかも同期にあの趙微がいるそうな。「花の○○年」では?)。
 他にも印象的なシーンはいくつかあるけど、やっぱり究極は最後のヤーバの行動だろう。そして井河だけでなく、「暖は幸せだ」と私も思う。靴のエピソードは古い歌で恐縮ですが「木綿のハンカチーフ」を思い出した。木綿のハンカチを贈ってもらったあの子もきっと 幸せになったことでしょう・・・

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