No.9

活きる(活着)
★★★★1/2

監督:チャン・イーモウ(初恋がきた道他) 出演:コン・リー(秋菊の物語他)葛優(ミレニアム・ラブ他)

 チャン・イーモウ&コン・リーコンビの終わりごろ、94年の作品。秋菊・・に比べ、より大河ドラマっぽい劇的な内容なのだけど、過剰な演出がなく、ごくシンプルな印象。影絵がかなり重要なモティーフになるかと思ったけど、意外と控えめ。福貴一家にはどうしようもない悲劇が次々と襲うのだけど、時間が経てばそれも笑い話にしてしまう、たくましさに感動する。悲しい出来事を経ながらも、生きていくことのすばらしさを、ひょうひょうと演じる葛優はやはりなかなかの役者なのだ(カンヌ映画祭主演男優賞受賞)。活着っていう力強いタイトルも合っている。コン・リーも老け役まできっちりと演じていた。今回印象に残ったのは「好好活着!(生きなさい!)」と去っていく春生に声をかけるシーンでのセリフ。力強いエールだった。ところどころで「大躍進」や「文革」の悲劇性(あるいはこっけいさ)を示すものがさりげなく顔を出す。共産軍が攻めてくるシーンは迫力があった。それにあわせた、なんとも切ないテーマ曲が印象的だ。
 ところで8年前の作品のため葛優はじめ、みんな若い。いろんな映画で活躍している役者も見られる。私は気が付かなかったけど同行者が、鳳霞役の女の子(劉天池)は「夜半歌聲」のヒロインのお手伝い役だった人だと気が付いた。二喜を演じたのが「こころの湯」よりずっと若くて細い姜武、お父さんに「北京好日」でも活躍した黄宗洛、春生役の郭濤は「スパイシー・ラブ・スープ」に出ていたし、とにかく中国映画好きならおなじみの人が多い。小さいことだけど、マントウ事件の王教授はプラカードが「王斌」となっていた。最後に流れたテロップで、編集の中に同名の人が。この人の名前をとったちょっとした遊びのような気がする。未確認なのでどなたか確認したら教えてね!(2002.3.30)

追記その1:やはり編集の中に王斌さんはいたようです。

追記その2:余華の書いた原作を読みました。とにかくみんな死んでしまい、生き残ったのは福貴と牛だけ。こちらはより悲惨な現実ですが、それだけに「活着」という言葉が強い意味を持っている感じがしました。チャン・イーモウは、「菊豆」のときのように平凡な農村の話の色づけとして「影絵」を選んだのですね。また「マントウ事件」も映画で追加されたエピソードだということもわかります。したがって孫につけられた名前も「マントウ」ではなく、より??な感じの「苦根」。機会があれば読んでみてください!

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