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再入院「ベンベン マリア〜♪編」 

お勧めBGM・・・「Bem,Bem Maria 」by ジプシー・キングス


●人工肛門閉鎖手術

11/24 昼過ぎ、岐阜から叔父と叔母がやってきた。例によって「エニマクリン」による「お腹からっぽ大作戦」決行。経験済みとはいえ、やっぱり夜つらかった。

11/25 雨の中、叔父と叔母と3人で病院に向かう。やっぱりナースステーション前のロビーで「本日の手術のみなさん」が集められ、オープンな状況で院長からのお話。「おう。じゃあ、人工肛門閉じるけど、腸閉塞が何度も続くようなら再び人工肛門を造ることもある。こればっかりは自然のなりゆきだ〜」げげ。いきなり脅しかい。
 病室は310。というと前回入院して最初に入った部屋と同じだ。手術の説明や準備にきてくれたのは、懐かしのWさんだった。前回なかなか会えないと思ったら新婚旅行でイタリアに行っていたそう。私のお腹を見て「かわいそう。こんなにお腹、傷ついちゃって」「そうそう、手術跡のキズに沿って周りの産毛が濃くなっちゃったの〜」「そういう人、いるんですよね。それでまた毛を剃るから余計に濃くなっちゃう・・・」(何を隠そう、おへその上から下までのメス跡や大小8つほどあるドレーン跡の周りは産毛が濃くなっているんです)うーん、これ以上毛が濃くなったらまるでクマだぞ。それに今回の手術でまた傷跡が増えるわけで・・・それでも毛を剃られながら、サッカーの話に花が咲く。「私ラウールとベッカムってプレースタイルが合っていないと思う。だから最近スペイン代表の方が好きなの」。うん、うん、と同意してくれるWさん。
 「あー色もついちゃったんだね。かわいそう」そうなのだ。フランジの跡がご丁寧に黒ずんでいる。パウチはワンピースのに替えてもらった。とはいえ、腸には何も入っていないはずなので、ガスぐらいしか出ないだろう。
 今日は5件手術が入っていて、私は最後になるそう。つまり一番優先順位が低いのだ。夕方かなり遅くなる予感がする。「ごめんなさいね」急ぐ手術ではないから、平気だよ、と答える。待っている叔父と叔母の方が大変だ。
 一応、未だにストマの入口側からバリウムの残りが出るというと、念のためレントゲンを撮ることになった。場合によってはお尻から浣腸してバリウムを排出させるとか。いやーん、痛そう。病衣になって点滴を打たれながら、下に降りてレントゲン撮影。待っている間にも、何人かの顔なじみの看護婦さんが「閉じられるの?よかったね」と言ってくれた。これほど受けてうれしい手術ってのもそうないもんね♪
 レントゲンの結果、それほどバリウムの量がないので、このまま行くことになったらしい。ほっとした!
 5時頃ようやく呼ばれる。本当はT字帯というものをつけるのだけど、生理中なのでショーツをつけたままで入室してよいことになった。まずトイレをすませ、肩に筋肉注射してストレッチャーに乗せられ手術室へ。前は工事中の廃墟のような中を進んでいったけど、今度は新しい無人の病棟を通る。手術室に入り、当たりを見回す余裕もあった(更衣室とかが見えたよ)。かかっていた曲はなぜか「チューチュー・トレイン」。なんでこの曲なんだろう??と思いつつ、ちょっと頭の中で口ずさんだり(余裕かましてます)。ストレッチャーから手術台に移ると、後ろから「Iさん」と呼ぶ声が。振り向くとM尾先生だ!「あ、先生(お願いします、といいたいところだったが、少しもうろうとして声にならず)・・・」とにかく知った顔を見てほっとした。
 天井を見るとライトが燦々(かなり余裕かましてます)。まもなく口にマスクが当てられ・・・

 手術はほんの1時間ほどだったらしい。呼びかけられる声でなんとか起きると、ぼんやり妙に青ざめた叔父と、叔母の顔が見えた。キルケさんの声も聞こえたような。キルケさんによると、叔父は手術直後の私を見て相当緊張していて、呼びかけてくださいと言われても「何を言っていいかわからんなあ」とぼそぼそ言っていたとか(笑)。深刻な手術でもないのに。
 前回相当寒かったけど今回はそれほどでもなし。痛みもあまり感じない。2回目の余裕?
「じゃあ鼻のクダ、抜いちゃいましょうか」ドクターの誰かが言った。うれしくてはい、と頷いたのは覚えている。

 気がつくと真っ暗。どうやら病室のベッドに戻ってきたらしい。急に吐き気が襲い、ナースコールをして持ってきてもらったのう盆に胃液を吐く。吐くときかなり傷口が痛み、つらい。2回目はとくにひどい痛みで、泣きそうになる。ただならぬ様子を察知した他の人がかわいそう、とナースコールをしてくれた。「起こしてしまい、ごめんなさい」と謝る。吐き気止めか痛み止めの点滴を流してもらい、おちついた。

11/26 朝の検温では7.9度。やはり朝一番でM尾先生が顔を出してくれた。「夜中、吐いちゃいましたか。やっぱりクダを抜くの早かったかな。今回は背中からは痛み止めをしていないので、痛いときはがまんせずに痛み止めを使うようにしてくださいね。昨日、手術前にびっくりさせちゃいました?本当は昼間病室に顔を出したんですけど、気持ちよく寝てられたようだったので、声をかけなかったんですよ」
 手術翌日は恒例?でレントゲンがベッドまでデリバリーで来てくれる。体の下に板を入れられ撮影。そのあと看護婦さんが尿のクダを抜いてくれた。前はあれほど抜くのに苦労した尿管も今回はほとんど意識しないうちにアディオス、夢のようだ。当然トイレに行かなくてはならないし、ついでにしばらーく尿を貯める生活が続くことを意味するのだけど。
 落ち着いた頃「昨日は夜中、すみませんでした」と他の人たちに声をかける。6人部屋の入口の端に私のベッドがあり、隣のベッドはあき。その隣にいる人が笑顔でいろいろ話しかけてくれる。「デフォルトの顔」が笑顔でとても好感が持てた。今日退院する人もいるらしいけど、病室の雰囲気はいいようで安心した。午前中から叔父・叔母が来てくれた。叔父はその日のうちに帰ったが、しばらくは叔母が私の自宅から通いいろいろ面倒を見てくれることになる。トイレに立ち上がると、さすがにフラフラした。熱があるのに歩け、と言われることに最初は驚いていた叔母だったけど、その理由を説明すると納得していた。とにかく今回も歩くしかない。

●ガス、大爆発

11/27 熱は7.1度に下がった。朝の回診で「じゃあ、スティブル抜こうか〜」の末広亭の一声でT田先生がホチキスを取り外した。感覚では5つぐらいだった。今回は傷口の消毒が染みるし、ガーゼもまだ血がついているのか「ぬるっ」とした感覚があるけど、前に比べたら楽勝、楽勝。ただし、ガスが出ていないので、お腹が張っている感じがする。
 「ガスが出たら一言言ってやる」「?」「へぇ〜」言いたくて待ちきれなかったらしい。一応、笑っておく。周りはこのネタにあきているのか、まったく無反応。「ガスがでるように、黄色のテープでガーゼ止めるね!」(ふだんはピンクのテープ。色に何か意味があるらしい)看護婦のS井さんがおまじない?をしてくれる。お腹は右側がやたら活発で、まだ梅から出るような不思議な感覚がある。F田先生にそのことを告げると「それは絶対ないから安心して」と笑われた。傷口の痛みよりお腹の痛みがかなり強く、痛み止めを流してもらう。
 午前中から叔母がやってきて、そばにいてくれた。やることもないので、s女史がフィレンツェで買ってきた名画の塗り絵をする。これは頭も使わないし、なかなかいい気分転換になる。あとはトイレのついでなどにできるだけ歩く。夕方キルケさんがやってくる。実は昨日、帰り一杯飲んでいい気になった叔父からキルケさんのもとに電話があったそう(緊急連絡用として電話番号を教えていた)。ながながとお話したそうだ。「まったくしょうがないな〜」怒る叔母。現在一人暮らしの叔父は「さすがに都会の人はきれいだな〜」と感心していたそうだから、酔った勢いで電話したんだろう。まったく!!
 散歩がてら3A病棟の方でキルケさんと話していると、末広亭が通った。懲りずに「へえ〜」と、もう一つくだらないダジャレを言っていたが、あまりにくだらなすぎてメモする前に忘れてしまった。「そうそう、末広亭が手術後言っていたよ。『色素沈着はできるだけ残さないようにしたけど、少しずつ落ちていくからそう伝えておいてくれ』」そんなキルケさんとおしゃべり中、ひっそりとガスが出た。
 夜の消毒の時やってきた「バレー部」(前回の入院の項参照)は「傷口、思ったより大きくないよ。きれいになっている」と教えてくれ、うれしかった。
 消灯後、それまでも旧梅のあったエリアを中心にぐるぐる不穏な音を立てていたガスだまりが大暴れ。ピュ〜ピュ〜・・・・ゴゴゴゴゴ・・・・シュルシュル・・・・トトトトト・・・に、人間のお腹ってこんなにいろんな音がするの?ってあきれるほど、ありとあらゆる音がする。まるで「前の音とは違う音を立てなければならない」、という掟でもあるかのよう。夜中にはそれが左側にまで広がった。つまり痛みもお腹全体に広がる。時間の経ち、痛みと共にガスが出るようになった。ガスが出たら出たで、肛門の周りが刺すように痛い。こんな状況で寝られるわけない。再び痛み止めを流してもらった。

●肛門の会

11/28 眠れないまま朝に。レントゲンに呼ばれて、下に降りるためエレベータのボタンを押した瞬間、お尻に激痛が。うーーー。検査以来2度目の感覚。ガマンする間もなくやってしまった。だけど実はおむつをしていたので大事には至らず。しかたがないので何事もないようにレントゲンを受ける。台に横たわる直前、またまた激痛、続いて排ベンの感覚。痛〜い。レントゲン技師に心配されたけど「今、便が出た」なんて言えないしなあ。
 バリウムベンが出ておむつについている様はレントゲンにもしっかり映っているに違いない。とほほ!朝の回診でそんなレントゲンを見て、さらにガスが出たことを確認して末広亭は「へぇ〜。じゃ、水分摂っていいぞ!水かお茶、烏龍茶、ポカリスエット、紅茶もストレートかレモンだったらいいからな」やった!
 さて傷口は「ひどい筋肉痛」のような感覚でそれほど痛みはないけど、少し出血は続いているようで、腹帯にしっかりついてしまっている。まだ見る勇気はない。
 今日は点滴3本+朝夕の抗生物質1本ずつ。点滴が減るということは、点滴を抜かれて自由の身になる時間が増えるということで、患者にとってはうれしい。水分がOKになったので売店でお茶などを購入。食べ物が食べられない身にはとくに「午後の紅茶」の甘みがうれしい。物が食べたくなったときにはぴったり。
 点滴のうえに水分を摂っているのでほぼ1時間ごとにトイレに行きたくなる。おしっこをすると肛門も活動をして、気がつくとベンが出ている。おしりが急に痛くなるけどガスなのか、ベンなのか微妙だ。感覚としてベンORガスがたまるスペースがとっても小さく(ほとんどなく)、しかもお尻に近い感じなのだ。とにかく痛みを感じたらトイレに走る(走っているわけじゃないけど、点滴台を伴ってできるだけ急ぐ)。出てくるベンはバリウムまじり。正直、間に合わないときもあり、おむつについたりすると、それだけでくらーい気分。
 実に2カ月半ぶりの「肛門の会」。しかし微妙な再会である。一方、膀胱もフル活動、すっかり忘れていた「真ん中」も活動再開。終わったと思っていたら、今まで見たこともなかったような血のカタマリがでてきてビックリ。勘弁してくれとぼやきつつ、膀胱も子宮も直腸も近いんだな〜と妙に感心したりして。
 ところでそんな状況にあっても、忘れてならないのが「シャンプー」。もうガマンの限界なのだ。まだ点滴の身だから誰かに洗ってもらうしかない。熱も下がったので看護婦さんからすんなり許可をもらい、頼めそうな人を物色。結局ヘルパーさんが洗ってくれることになった。少し気分も晴れた。
 夜の点滴がなくなり、寝るときかなり楽になった。それに比べてトイレの状況は思わしくなく、不安は高まるばかり。夜中も何度もトイレに走る。本当に時間が経てばよくなるのだろうか?おむつはとれるんだろうか?考え出したらどこまでも落ち込んでしまう。悲しくてタオルをかけて泣く。

11/29 いつものように8時頃まわってくるM尾先生。今の不安をぐちると、「2カ月半も使っていなかったからどうしても最初はそうなるんですよ。だんだんだんだん、よくなっていくから、そう焦らずに。ちょっと時間はかかるかもしれないけど、だからといってこれ(ストマ)の方がよかったなんて思わないでくださいね」と笑顔で言ってくれた。ちょっとじんわり。
 回診で「○○ドレーン2つ、抜いてもいいでしょうか?」と末広亭に確認するM尾先生。ドレーンを2つ抜くだってえ?言葉にすでに身構える。「それって痛いです・・か?」という問いが終わらないうちに、するりと抜けていくドレーン。「・・・く、ないでしょ?」もう1本もあっという間に抜けた。見ると、なんだ、小さくて細いドレーンじゃない。「ストマの抜糸に比べたら、なんてことないでしょ」とニッコリするM尾先生。ほんと、ほんと。なんでもあの抜糸は最初M尾先生がやる予定だったのが、急遽M岡先生がやることになったそうだ。へえ、そうだったのか。「先生じゃなくてよかったですよ。あれをやっていたら絶対恨みを買っていました」。「恨みを買った」M岡先生は、その場にいなかったけどくしゃみしたに違いない。
 今日から抗生物質の点滴はなくなる、ということだ。つまり化膿・炎症の可能性がなくなったということ→ピアスを入れてもいい、と判断。さっそくピアスを入れてみる。やっぱり入れにくくなっていた。
 このころには一番端のYOUKOさんとずいぶん話をするようになっていて、私は買わない女性週刊誌などをいただき、叔母ともよい話し相手になってもらった。大腸ガンで40センチほど切ったそうだ。とにかく明るい表情なのがとても救われる。ちょうど1週間手術がずれていて、最近食事が開始されたとか。私ももう少し食べるまでにかかりそうだな〜。YOUKOさんだけでなく、同室の他の人は全員食事が出ているので、とにかく食事時は散歩に出る。
 散歩中、いろんなところに「落語の会」のポスターが貼られているのに気づく。「今年も入院患者様を対象に落語の会を開催します・・・」。「も」ってことは、毎年やってんのか?落語の会って、やっぱり「末広亭」人脈ならではじゃないの?本人も落語やったりして。12/13にあるらしいけど、さすがに退院しているはず。
 夕方、YOUKOさんと雑談しているとき、急患が入ってきた。なんでもイレウス(腸閉塞)なんだとか。2年前に開腹手術、イレウスは今年2月に続いて二度目の入院になるとか。やっぱりなりやすいんだな。お腹を切った同室の3人暗い気分。うわっ。

11/30 日曜日恒例体重測定。手術前より3キロ減っていた。トータルで7キロ減。昨日隣に入った急患さんはY岡さん。イレウス話を真剣に聞く。前に入院したとき6人部屋全員がイレウスだったとか。こわーーーーい。YOUKOさんと歳も近いので話が弾んでいるよう。昨日は元気なかったけどだんだんとても明るい人だとわかってきて安心した。
 今回もキルケさん経由で手に入れたエッセンシャルオイルを何本か持ってきている。ある看護婦さんは「Iさん、前はこの部屋の真ん中にいたでしょ?この香りで思い出した」なんていうほど、「香り」の反応はよい。
 文豪に電話。「私、7キロ痩せたんだよ」「Iくん、だったら体重は何キロになったんだね?」「え!」「ふふふ。いえないとうことは世間的に見て決して痩せているとはいえない、ということだ」ちぇ、いぢわる。一度ぐらい見舞いに来い、と言うといかにも行くようなことを言っていたが?
 夜、ラウール仲間からメールが入った。今日はユーロの組み合わせ抽選の日。な〜んとポルトガルと同じ組。大変だけど魅力的なカードだ。さらにポルトガル行きのモチベーションが高まってきたー!!

12/1 今日は休み明けということもあり末広亭はダジャレ連発。「院長、ドレーン、あと二本残っていますが?」「ここは日本だ。わはは」(ちーん・・・)「今日は7日目だからな。なぬか、ようか(七日八日)、なんか用か。抜くのは8日目にしよう」ダジャレに合わせて処置するんかい!?「じゃ、院長が8日目にこだわっているので抜くのは明日、ということで」と、M尾先生。(ちーん・・・)
 さて「白い巨塔」とは趣は違うけど、曲がりなりにも院長回診。ゾロゾロ大名行列のようにおつきのものが続くのは同じ。前もって「お触れ」が来て、患者はお腹を開けて準備する。院長を先頭に、サブとして副院長のI田先生や外科部長のF田先生、処置や消毒をするのがM尾先生やT田先生、女医のY先生、M岡先生。それに前はいなかったけど、あのバリウム検査をしてくれたボーイッシュな研修医?の女性もいる。場合によっては何者かわからない白衣を着た先生が何人かいて、時々処置をしてくれたりする。さらに薬剤師に看護婦が常時5、6人は付いてくる。で、院長の話が長くなったときなどは、全員ニコリともせず立ったまま聞くんである。あるいは黙々と処置や消毒をする。ある意味周りとの対比が最大の見どころとも言える。あるコワモテのベテランナースは患者さんの机においてあるお見舞いの花を見て気を紛らわしている。時々勝手に花びらをむしり取ったり?
 午前中、向かいの一番窓側にやはり婦人科の手術を受ける人が入ってきた。明日子宮を取るんだそうだ。向かいは私と同じ日に子宮全摘出した人で子どもが19歳とか。しかし話をするうちなんと私と同じ歳!正確に言えば私の方がお姉さん・・・という事実に愕然。子どもは3人いて去年離婚したそうだ。「子どもも3人いるし、もう子宮なくてもいいかな〜と思った」とけっこうサバサバしている。同じバツイチ同士とはいえ、なんたる対比。いろいろな人生があるのだ〜。W市の隣なので家も近い。「W市三大ヤブ医者」というのが存在するのを教えてもらう。
 rieさんが途中、おばを乗せてやってきてくれた。大助かり。バリウムが混じらなくなり、普通の?下痢ベンになった。バリウムが出きったからか、ちゃんと便意らしきものを感じるようになり、それからトイレに行っても間に合うのがうれしい。ただしまだ生理の残りのようなものが出てくる。前の手術後も狂ったけど、いったいいつまで続くのか?
 隣のY岡さんとの雑談の中で、お腹の傷の話題になった。跡が気になるというといきなり「私は今ね、こうだよ!」とお腹を出してみせてくれた(!)。2年ぐらい経っているのでほとんど肌色で目立たなくなっていた。説得力のあるプレゼンテーションだった。
 夕方、急患で憩室炎の人が入院。旅先の静岡で炎症を起こし現地で緊急入院、転院してきたんだそう。それまでの経緯をいっきにまくしたてられた。かなりパワーありそうな人?そんなこんなで一気に満室になった310だった。
 今日は叔母が田舎に帰る日。午後キルケさんが来て、バス乗り場のある新宿まで連れて行ってもらう。岐阜県中津川市まで直通の高速バスができて安いし便利、と大いに気に入った様子。今度来るときはこれにするとか。
 夕回診で、隣のY岡さんのレントゲンをみた院長、「胃が気に入らない」と、胃カメラを命じる。「いやだな」と凹むY岡さん。さらに「この前、甲状腺の検査受けて何カ月経った?ちゃんとやらないとだめだろ!」「先生、またブスっとやるんですか?」「なに?」(あ・・・この会話、危険なニオイがする。絶対何か言いそう)「だから、首にブスっとさして・・・」「おいおい、この病棟にブスはいないぞ!」。すかさず私が「あ〜、今、絶対何か言うと思っていました!」というと、周りの硬直していた人々もどっと笑った。例のボーイッシュな女医さんが「今一瞬、Iさんの目がキラリと光ったんですよね〜」と笑う。末広亭が「あのな、あの院長ドクハラだなんて書くなよな〜」「書きませんよ。大丈夫です」(だったらネタを提供しなきゃいいのに)
 夜、看護婦さんに明日の朝、レントゲンがあることを聞かされる。これで上手くいけば食事が開始になるに違いない(もうパターンを読んでいて、ベテランってやだわ)。
 ついでに看護婦さん、「この部屋は本当にいい香りがして気持ちいい。(小声で)男性の部屋だとなんか匂うのよね」。私が持ってきたエッセンシャルオイルが看護婦さんだけでなく部屋のみんなも関心があるようなので、とりあえずみんなに「UP LIFTING」と「RESTFUL SLEEP」をかがせ、好きな方をチョイスしてもらい、ティッシュに垂らしてあげた。全員「RESTFUL SLEEP」をチョイス。

12/2 レントゲンの結果、朝の回診で「じゃあ、重湯から食べてみるか〜」。やった!!こだわりの8日目、ドレーンを2本抜いてすべての処置が済んだ。
 私の枕元にあったラウールの写真を見て、末広亭が「そいつの名前はなんていうんだ?」「ラウール、です」「なに?ラウール。そんな名前のソ連の山脈があったな」そ、ソ連?答はすぐわかったけど無反応でいると、「ああ、ありゃウラルだったなあ」(ちーん・・・お願いです、誰か院長を止めてください)F田先生がぼそりと「サッカーに詳しくないボクでもラウールぐらい知っているのに、ねえ?」とつぶやく。「最初は下痢になるかもしれませんが、とにかく慌てずゆっくり食べてくださいね」忘れずに大事なアドバイスもしてくれた。
 昨日入ったY野さん、手術。みんなにがんばってね〜と言われ出ていった。さらに今日はYOUKOさんが退院。当初3週間ぐらいと言われた入院も経過が順調で2週間で釈放、うらやましい。カーテンをオープンにしてみんなで昼食(検査で食べられないY岡さんとS里さんをのぞく)。私も重湯でようやく参加。味噌スープを楽しみにしていたけどお昼はリンゴジュースだった。それでもおいしい。YOUKOさんと「腸閉塞で会わないようにしようね」と誓い合う。
 大したものを食べていないけどF田先生に言われたように、午後から下痢になる。だいたい下痢だと、おしっこをコップに貯めるのに高度な技術を必要とする!(無理矢理貯めなくても大目に見てくれる)。さらにっ!3Cの女性用トイレは2つだけ。みんなコップを手にせっぱつまって順番待ちをしていたりするので、あんまり占領するわけにもいかないのだ。だけどすぐ行きたくなるし困った。そこで思いついたのは、引っ越しで今は空いている3A病棟(週末3Cからここへ引っ越すらしい)のトイレ。ここなら利用する人もいないから長居しても迷惑かけないし、ありがたいウォシュレットもちゃんと使える。最高の「秘密のトイレ」なのだ。病室のみんなには「秘密のトイレにこもってくる」と言い残し、スペイン語の重要語句のカードを手におこもり。
 そういう合間を縫ってしっかりシャンプー。結構人の髪洗うの好き、というT田さんが洗ってくれた。気持ちいい。
 夕方「秘密のトイレ」から戻ると、向かいのT田さんが「さっきもう院長の回診終わっちゃったよ〜」。いつもより早い時間にふらりと回診に来て、たまたまこの部屋の外科の患者が誰もいなかったので「誰もいないな〜」と言って出て行っちゃったという。実はお尻の痛みについて回診の時院長に確認するように看護婦さんから言われていたのだ。「また来るんじゃない?」。しばらく廊下で張り込んでいると、末広亭が歩いてきた。「おう!」「トイレにこもっていました」「そっか」立ち止まって、いきなり、廊下の壁にもたれて座るポーズをしだした。「ありゃ、こうだったかな、『考える人』は。こんなポーズでふんばっていたのか!」わざわざ再現しなくてもいいっつーの!で、お尻の痛みはやはりしばらくはしょうがないとのこと。「痛ければ、軟膏を塗るように。おーい、リンデロンだしてやってくれ。ウォシュレットでよく洗ってな。硬くて安い肉をやわらかくするのにも一番いいのは・・・・(院長の品格を問われる発言なので削除)」「え〜もう院長、信じられなーい」と抗議するも、意に介さず「うわははは」と去っていった。
 その後、マダムOが私のリクエストした「化粧惑星」のパックなどを持ってお見舞いに来てくれた。いつもいつも、すまんこってす。院長回診に間に合わず悔しがる。そういう人の存在は貴重かもね。
 食後、「秘密のトイレ」でおこもりしたあと、部屋に戻ってみると、私にお見舞いの人が2人で来ているとのこと。ロビーにいくとH氏と「リガオタの会」会長・Y田さんが座っていた。9月の続きでハリポタの3巻と、サッカー雑誌2冊(めちゃくちゃうれしい)、カワイイ花束をいただいた。お花はスペインカラーの赤と黄色で作ってもらったらしい。サッカー話に花を咲かせていると、客と共に通りがかった院長。「お、いつでもイブのディナーに間に合いそうな勢いだな」とご満悦の様子。

●お笑い310号室

12/3 朝、様子を見に来たM尾先生に下痢のことを話す。とにかく今の下痢は仕方がないので気にはしないこと、らしい。「焦らずにね。機能が戻るまで少し時間はかかるかもしれないけど」「ユーロには間に合います?」「もちろん!」「だって、スペイン対ポルトガルですよ先生!もうその組み合わせを考えただけで幸せ〜」「いいカードですよね!フィーゴ対ラウールでしょ?それはなんとしても行かないとね」サッカーファン同士わかちあえる、幸福感にちょっと浸る。調子に乗って「だけど先生、このままだとマドリーダービーも、クラシコも見られないんですよお。せめてクラシコみたーい!」「できれば見せてあげたいなあ。ちなみにボクも夜勤だから見られないんですが」あわよくば数時間か外出許可をもらって・・・と考えている私、もう一押しか?
 朝食にようやく流動食最大のごちそう?味噌スープがでる。回診で来週の火曜日に退院、と告げられる。「そっか、おまえ一人暮らしだったな。うちは『とんでん』に近いんだろう?確かスーパーもあったよな」「両方ともすぐそばです」「じゃあ毎食『とんでん』で食べてりゃいい。あの公園で運動して」んな、毎食食べてたらいったい食費がいくらかかるんじゃ〜だいたい、本番の食事がこれからというときに退院のことを持ち出されてもピンとこない。
 例のコワモテのベテランナースが院長の話の合間、机の花束(右)をみて「これって、日比谷花壇?あ、やっぱり。あそこってこういうアレンジ好きねえ」と、しげしげとチェック。さすが年季の入ったナースは見ただけでわかるんだ?!
 YOUKOさんの後には大腸のポリープが見つかり内視鏡で取るという人が入院してきた。この段階で見つかって、うらやましい。
 昼からは3分粥「特別軟食」に昇格。点滴、畜尿がなくなり、抗ガン剤など、これまで飲んでいたクスリも復活させるようにと指示を受ける。他の人の食事で「原型」を確認、ペーストになった肉じゃがとシューマイだった。今日は下痢もなく、ガスも痛みなし。比較的平和な1日だった。さて、Y岡さんは胃カメラの検査。やだな〜とさんざん言って出ていき、戻ってきたとき、怒っていた。「あ、怒ってる、怒っている」とT田さんと笑う。検査の結果は問題なく軽い胃炎だったらしい。
 夜、トイレから帰ってきたS里さん。「私が1300CCで今のところトップ」と発言。なんのことかと思えば畜尿で今のところ一番量が多いのだそう。「でもイケノサブロウっていう人が100CC差で追っているから油断できない」「じゃあ、私の100CC、やろうか?」とY岡さん。「もう1本、点滴追加してもらおうかな?」T田さんと私、お腹をかかえて笑う。二人ともお腹を切っているので笑いすぎて文字通りお腹が痛い。S里さんは「イケノサブロウってどういう人だろう?」ライバル?が気になって仕方がないらしく、病室を見回りに行った。しばらくして「やだ〜」と戻ってくると点滴の血が逆流している。そこまでして・・・ナースコールを呼んでやってきた看護婦さん。「血、いる?」「いらない」このやりとりもシュール。それでも「イケノサブロウって何号室にいるの?」と食い下がる。「知り合いなの?」「ちょっとね」(笑)ついでに看護婦さんに「○号にいる七五三男、ってなんて読むの?」と聞く。「しめお」って読むそうだ。ずっと気になっていた「ひちごさんおとこ」の疑問解決。
 一生懸命水分をとって9時の消灯前、S里さんトイレに向かう。「あれ?今、点滴台も連れて行かなかった?」確かに、ガラガラ音がしていた。もう点滴は終わったので連れて行く必要はないのだけど・・みんなでまた笑う。しばらくして「もお、誰か気がついたら言ってよ!」と戻ってきた。こちらは再びお腹がよじれるぐらい笑わせてもらった。トイレから戻るとS里さんついに勝利宣言。「もう300CCぐらい差がついたから追いつけないと思う。私が勝った」。めでたし、めでたし。ちなみに後日、イケノサブロウの正体判明。いつもチェックのパジャマをきた、いい感じで枯れているおじいさんだった。まさか自分がここまでライバル視されていたとは思わなかったに違いない。

12/4 早朝、携帯サイトをONして、マドリーダービーの速報をキャッチ。ベッカムのクロスにラウールがヘディングで合わせて1点取ったらしい。やった〜。
 朝、起床してしばらくするとそれぞれのカーテンを開けてオープンになり、みんなでおしゃべりをする。
 昨夜のMVP(最優秀患者?)S里さんは今朝も舌好調。「みんな一昔前だと間違いなく死んでいたね。Y岡さんも死んでいた。Iさんも死んでいた。T田さんも死んでいた。私も死んでいたよ」と一人ずつ「死」を確認。で、一昔前っていったいいつごろ?と聞くと「江戸時代」というのでみんなで大爆笑。そりゃ死んでいただろうが、一昔っていうと、2、30年前じゃないの?
 そうして話がはずんでいるとき、どういうわけか末広亭が(今朝はラウールの得点のことをM尾先生に話したかったのに〜)笑い声を聞きつけ「笑うと免疫力は20倍になる、というからな〜」といいながら部屋をのぞきに来た。ちょうど自分の独演会をやるには6人一気に聞かせられていい、と思ったのか、いつかどこかで聞いたネタを織り交ぜての独演会に。黙ってうなずきながら拝聴すること30分。今回新たにわかったこと→大腸と胃の手術はそれぞれ1000件以上、膵臓ガンも300件以上の執刀。来週各市の市長を呼んでの忘年会がある、ってことぐらい。
 やっと終わった、と思ったとたん、朝食が運ばれてきた。待望の味噌スープがすっかり冷めていた。きっと出そうにも出せなかったんだな。あー。
 回診でM尾先生にお腹の傷口を指で何度か押さえられる。「押すと痛いですよね?」何か気になるのか、末広亭に確認。「じゃあ、ぴぴっと突いてみるか」ぴぴっと突く?どこを?で、取り出されたのが金属の細い針のようなもの。「え〜それって痛そう」と、身構える。「ごめんね、ちょっとガマンしてね」そうだ、法則があるんだ。「ラウールが得点した後は痛い処置がある」。なんか血のカタマリのような物が溜まっていて突いて出そうとしているらしい。しかしそれほど出なかったようだ。突かれ損?「(こうなったのは)笑いすぎたからですか?」「それは関係ないです」と笑われる。末広亭が行ってしまったので、小声でM尾先生にラウールがヘディングで得点した、と伝える。「情報、早いなあ。でもラウールのヘディングって珍しいね?」T田先生が「なんの試合?」と確かめてきて、「CL」というのを「違います。今週はイレギュラーにリーガがミドルウィークにあって、マドリーダービーだったんです」。なんか私ってマニアックだわ。
 昼から五分粥に昇格。原型が推測可能なぐらいのきざみ食だ。ただし、昨日下痢が止まって以来、今度は出なくなったのが気になる。ムードメーカーだったY岡さんとS里さんが退院して、一気に寂しくなってしまった。T田さんと階段を上り下りしてみる。そのT田さんも心配された白血球の数値が正常に戻り明日退院することになった。3B病棟の階段から行ける屋上はかなり広く気持ちいい。これを「秘密の屋上」と名付ける。手術したばかりのY野さんはまだきつそうだけど、2人だけになってしまったので少しおしゃべり。
 夕回診でM尾、T田、M岡、+ボーイッシュな女医、4人の若手外科医がそろって真剣な顔をして私のところにやってきた。何事?と思いきや「ベンは出ましたか?」。で、出ませんでした。なんかみんなに囲まれると一大事みたい・・・
 夕方のニュースで得点したラウールより、「ベッカムがアシスト」という点がクローズアップされていて、むかつく。

●「エホバ」で暗転

12/5 朝の回診の前、ただならぬ雰囲気で、はしに入院患者がやってきた。ちょっと深刻な感じなのでカーテンをひく。患者か家族は泣いているらしい。回診時、隣の部屋で末広亭が長々と話をしているのが聞こえてきた。お腹を開けて待っているとこの時間が長い。どやどやと、末広亭がその新入りさんのもとにやってきた。言葉の感じから、かなり末広亭は立腹であることがわかる。「こんなに血が薄いんだぞ・・通常の1/3だ。エホバかなんか知らないが、オレから言わせればアホだ。バカだ。わざわざ死にたいのか・・・・同じ信者仲間で医者ぐらいいるんだろう。そういうところで手術すればいいんだ・・・大腸ガンだ。本当に生きたいと思っているのか?娘は18?娘の花嫁姿見たいんだろ?なのに輸血をしないのはほんと、バカとしか言えない!ついでにな、生きているかあちゃんが見られるのも今日の午前中だけかもしれないから、そう覚悟しろ」それを聞いて泣きじゃくる娘さんの声も聞こえる。「半年前に○○医院で検査したときは大丈夫、って言われたんです。先生、信じていますから、助けてください」と蚊の鳴くような本人の声が聞こえる。
 ひえええええ。なんという事態だ。お笑い310が一気にどよよん部屋になっちまったぞ。私からみれば末広亭の怒りの方が理解できる。医者からすれば迷惑な話だ。ついでにこんな修羅場に一緒にいなきゃならない同じ部屋のものも迷惑だ!!なんで隣で長くいたのか、なんとなくわかる気がする。隣で「勢い」をつけて来たに違いない。
 さんざん怒ったあとに、私のところに来た末広亭はあきらかにゴキゲン斜め。「おう」のトーンも低い。そのとばっちりを受けるのか〜!と、硬直。ベッドのところでスタンばっていたM尾先生、「昨日、出なかったんですよね」と末広亭に報告。とたんに表情が変わって「おれはあれは脂肪だったと思うよ」と小声で耳打ちするジェスチャー。「えー先生、ひどい!」「不満か?不満か?」「すっごい不満です!」「オレは肥満だ。はっ、はっ、は〜」しまった、やられた。
 「脂肪だなんて、失礼ですよね?」とM尾先生は笑いながら、消毒。「昨日ラウールのゴール見ましたよ、すごいじゃないですか。ボクもサッカーやっているからわかるけど、あのヘディングは難しい」「うーん、でもベッカムから、というのがどうも気に入らなくて。ニュースでもベッカムがアシストしたことばかり強調するんだもん!」「あ?言っちゃいました?」「はい!言っちゃいました」。M尾先生がT田先生に「Iさん、ベッカムはダメらしいよ」と耳打ち。2人に苦笑いされる。
 ベンが昨日出ていないので、先生と相談して下痢止めの服用をやめ、今日一日様子を見ることに。
 エホバの新入りさんは相変わらずじめじめした雰囲気。看護婦さんに「なんであんな言い方するんだろう。もっと優しく言って欲しかったのに」と話している。「口は悪いけど根はいい人だからね」となぐさめている。あのね〜あんたのせいでこっちの免疫力が落ちちゃったよ、ベンも出ないんだよ〜と言いたい私。家族に加えて信者仲間?と思われる人総勢8人ぐらいが廊下やロビーで深刻な話し合い。議題は「手術承諾書」だったようだ。本人と最終的に相談して(まる聞こえ)結局輸血以外はすべておまかせします、といった文章に書き換えて提出したようだ。輸血できないので造血剤を使うらしいが、なーんか、矛盾している気がする。Y野さんと部屋を出て散歩しながら1日でガラリと変わってしまった状況を嘆く。
 エホバのことを気にする前に私とY野さんはお互いベンが出ていないので、気がかり。私は牛乳を飲んでみることにした。いつもこれでお腹が下るのだ。ところがお腹はぐるぐる動き出したもののベンはおろか、ガスも出ず、よけいツライ状況に。一方Y野さんの便秘は直接患部に関係ないだけに、ペパーミントのオイルをしみこませたタオルをもらい、温湿布。T田さん、私たちの行く末を案じつつ退院。
 エホバさんは手術に向かったが、夕方、ものすごく調子悪そうな入院患者(同じ病棟と思われる)がエホバさんを訪ねてきた。この人もまさかお仲間?「手術中だと思いますよ」というと、真っ青な顔をして挨拶もせず出ていった。なんだかさらにくらーい気が310に入り込んできた。
 さて、「ヤマクミ」という看護婦さんに、「Iさん、今回は前に比べてサッカー色薄くないですか?ユニフォームとか持っているんでしょ?今度ユニホーム着てください〜」とリクエストされる。その気になったりして。
 その後、S里さんがやってきた。例の「UP LIFTING」が欲しい、というのでキルケさんに頼んで持ってきてもらったもの。1本1000円、2本お買いあげ。ちなみに昨日はT田さんに「ANTI POLLEN」が売れたので、テレビカード代ぐらいは小銭を稼ぐ(笑)。S里さんは約束通りプリンやケーキを買ってきてくれたのだけど、お腹が苦しくて食べられる状況にないのがつらい。ガスも出ないので、だんだんつらい状況に。 心配してM岡先生がやってきた。ずっと撮っていなかったので、レントゲンを撮ることになった。
 夕回診でレントゲンを見てもらった結果、ガスとベンがつまりぎみということで再び「水分のみ」の札が点滴台にかけられる。採尿コップも再び復活。かなしー!エホバがネガティブな「気」を持ち込んだせい?今夜はハイケア室に泊まりだろうから、戻ってこないのがちょっと救い。引っ越ししても同室になるのかな?やだな〜

12/6 ちょっとブルーな気分で「先生、逆戻りしちゃいました」と見回りにきたM尾先生に言うと「ううん、決して振り出しじゃないですから。ちょうど腸をつなげたところがむくんでいて通りにくくなっているんです。でもこのむくみはだんだん取れていくので心配ないですよ。ボクはちょっと食事開始が早めだったかな、と思っていたので。とにかく逆戻りしたんじゃなくて、よくなっていく過程のひとつ、次に行くための段階のひとつですから、気にしないで。さんざん脅されていると思うけど、ムリして食べて後でイレウスになるよりずっとましだと思ってください、ね!」。えーん、なんて温かい言葉なんだろう。
 回診で今日一日水分だけ、様子を見ると言われる。ちえ。さて、今日は引っ越し。気になるのはY野さん、エホバさんとは同室になるか、ということ。ちょうど「本日の点滴」が手元にやってきて、見ると病室が「309」という表示になっている。点滴をやってもらった後、さっそくY野さんと3Aに偵察に行く。3A-309に入るとやはりドア側のベッドの壁に私の名前が貼ってあった。Y野さんはない。隣の部屋を見ると、Y野さんの名前。その向かいに「エホバ」。じゃ、じゃーん。
 回診後、ベッドやサイドテーブルごと3Aへお引っ越し。今度は4人部屋でスペースもゆったりしていてかなり快適。それぞれの部屋にロッカーや洗面所もある。トイレに近いのもうれしい。だけど、Y野さんとは別な部屋なのがやっぱり残念。すでに斜め前に先客がいた。胃ガンでお腹を切ったというO田さん。やがて隣に入ってきた人をみてちょっと暗い気分に。昨日、エホバさんを訪ねてきたあのお仲間だったのだ。看護婦さんにエホバさんの状態を聞いていた。うわ〜呪われている。お腹が詰まっていようが根性でY野さんとシャンプー。
 夜、お茶を飲んだ直後、洗面所で吐いてしまった。といっても、お茶しか吐くものはなかったけど。即のうぼんが用意され、さらにレントゲンが指示される。自分で歩けそうだったけど念のため、ということで車いすで1階のレントゲン室へ。点滴台には「禁飲食」の札。はあ〜なさけない。前日より詰まりがひどくなっているらしい。吐き気止めと痛み止めを点滴で流してもらい、少しだけ楽になった。
 お隣のお仲間さん、夜になると熱がでるみたいで、それは同情できるのだけど、夜中にベッドの電気をつけて消さないまま寝てしまう。お腹が動く苦しさで眠れないうえに、こう見えても眠る環境には神経質なので、2回も看護婦さんに頼んで消してもらうはめに。さらに時間が経って、最初にガスで苦しんだときのようにまず右側から「ボコボコ」というぜん動痛が始まり、やがて「貫通」した感覚があった。ようやくベンが出る。・・・といっても下痢だったので、またもやトイレとの往復でほとんど寝られず。
 寝られないついでにクラシコの速報を携帯で確認。1-2でなんとカンプ・ノウで歴史的勝利。あ〜あ、外出許可もらって観戦、なんて遠い夢に終わったなあ。

12/7 朝、7時、恒例の体重測定。先週よりマイナス0.5キロ。再びレントゲンに呼ばれる。戻った頃、M尾先生が心配して見に来てくれた。「吐いちゃいましたか?」「だけど夜中に下痢だけど出たので、すごく楽になりました!」「よかった。じゃああとでレントゲンを見ておくけど、絶対、振り出しではないですからね〜」「はーい。ところで先生、クラシコ1-2でレアルが勝ったみたいです」「えー?」私を元気づけるのはサッカー話が一番だと思われたのか、「あれはなかなかできないヘディングですよ」と、またもや例のラウールのヘディングゴールをべた誉め。なんとかして励まそうとしてくれるのか?「でもベッカムで攻撃のバリエーションが増えた、とボクは思うんですけどね。あれはあれでいいんじゃないですか?」。ついでにユーロの話まで及び(ほとんど昨夜の悪夢を忘れている)、スペイン代表が勝ち進めば最後まで見られるチケットを持っていることを自慢する。「いいですね、それ!ボクもスペイン代表好きだなあ。あの攻撃スタイルいいですよね。イタリア代表よりずっといいと思います!」「ほんとですか!うれしーい」
 続いてM岡先生が顔を見せる。「レントゲン見たけど、昨日の夜よりずっとよくなっていました!よかったですね」。回診で水分がOKになった。F田先生は「食べたいですか?」と聞いてくれたけど、若干不安があるので、今日は水分だけ、と自ら申し出る。メニューによると、ほんとなら今日はすき焼きが食べられたはずなんだけど・・・このときY先生に再び「ピピッと突かれる」。やはり化膿を避ける「出口」を造るために突いたらしい。もお好きにしてくれい。
 さて、ベンが出たら出たで、別の苦しみが待っている。肛門痛に続いて何度もトイレに行きたくなる、というあのパターン。と言っても出るのは1回につきほんの少し。だからトイレ疲れしてしまう。
 お向かいの患者さんの家族から、よろしくというのでお菓子をもらった。隣の人も胃を取っているのでまったく食べられないし・・・事情を知らない人にはなかなかわからないことだけど、こういう差し入れは消化器系はつらいです。
 Wさん「また点滴にもどっちゃったの?かわいそう〜」とやってくる。恐ろしいことに点滴を刺す場所がなくなってきたらしい。9月には1度もいわれなかったのに、「血管が出にくくなっている」といろんな看護婦さんにいわれるようになった。出やすいところはすでに刺してしまっていて硬くなっているので刺せないそうだ。「手の甲とか?」と言われるけど絶対いやだ、と拒否。
 夜中やっぱり隣は電気をつけたまま消さずにいるのでがまんできなくなり、看護婦さんに注意してもらう。

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日付はすべて2003年のものです

 

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